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  • 執筆者の写真SHUNJI MIYOSHI

ザルツブルグのピザとワイン

ザルツブルグに初めて撮影に行った時の話。

そこはドイツとの国境にある静かな街。

今まで撮影してきたイタリアやフランスと言ったヨーロッパと違い、印象は白くて綺麗。

ザルツブルグ城を挟んで北には市街、南にはアルプスが見える。

岩の中を登っていくエレベーターや、広大な森、突然出てくる崖っぷち、とにかくヨーロッパの中でも一番好きな街がここ。

初めて撮影に来ると前日にくまなくロケハンをする。

もちろん、自分の足で歩くことがほとんどで。拙い英語で現地の人とも話たりすることもある。

メンヒスベルクの丘から街に下るところで、「ここからの景色が一番いいよ。もうすぐしたら鐘が鳴る。それがオススメの時間さ」みたいなこと言われて、確かに綺麗だし、しばらく待ってると街中にある無数の鐘が鳴り始めて、建物や山に共鳴してなんとも言えない時間をおじさんにプレゼントして頂いた。

川を渡って向かいの山にある修道院の方へ。

そしたら突然の雨で、薄暗い修道院の中へ逃げ込んだんだけど、誰もいないかと思ったら

一人女性が同じ様に雨宿り中。

外からは雨音だけで、お互いに離れたところにちょこっと座って前を見てるだけ。

話すわけでも無く、二人でただ外の雨音に耳を澄ますだけ。

そんなロケハンの帰り道。。。

メンヒスベルクの丘から反対側に降りられなくなって、太陽も落ちてきて薄暗くなってきて、「また迷子か」ってとりあえず、下に下に。どうにか出られた時は僕のホテルへの帰り道にあるお店はやってなくて、晩ご飯難民になりかけたんだけど、ホテルの裏でひっそりとやってるイタリアンのお店があったから、もう迷わずにそこに駆け込んで、マルゲリータと赤ワインを注文。

天気も悪く、遅い時間、そして街とは逆の田舎にあるからか、お客は僕一人とおじいさんとその娘の組み合わせの二組。

イケメンの店員が僕に色々話しかけてくるけど、あまりわからなくて、すぐ話すのは諦めてくれたけど、態度はすごくいい。

雨に打たれて、たくさん歩いて消耗してたところに、ピザと赤ワイン。

イタリアで食べる飲むこれらは最高なのは当たり前なんだけど、この日のこのピザと赤ワインが僕の中のベストだった。

食事はそのものでも、もちろん味の違いはあるけれど、僕の中では何事も雰囲気が一番の味付けだと気づかされた日。

まだこの時は翌朝、玄関の前で大量のどでかいナメクジの大群に出会うとは知らずに。

2020/05/09 SHUNJI MIYOSHI

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